かつて戦後の復興を支えた主要産業の一つであった日本の繊維業は、今や中国やインドなどの安価な製品に押されて縮小傾向にあります。ここでは、就活生向けに繊維業界の現状と動向、就活対策などについて説明します。
- ・繊維業界について
- ├繊維業界とは?
- └業界規模は縮小傾向
- ・繊維業界の動向と企業の取り組み
- ├海外進出に注力
- ├大手を中心に炭素繊維・高機能繊維が好調
- └中小メーカーも世界的に高品質な生地を生産
- ・繊維業界の人気企業は?
- ├東レ
- ├帝人
- └住江織物
- ・繊維業界の仕事
- ├素材研究
- ├商品開発
- ├生産・管理
- ├営業
- └事務
- ・繊維業界でアピールしたいポイント
- ├根気強さをアピール
- ├チャレンジ精神をアピール
- └トレンドに敏感であることをアピール
- ・繊維業界を目指すなら
- ├英語力を身につける
- ├業界研究をしっかりと
- └インターンシップに参加する
- ・まとめ
繊維業界について
繊維業界とは?
繊維業界とは、綿花、羊毛、絹などの天然繊維、天然繊維を加工して作るレーヨン、アセテートなどの人工繊維、ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維を加工し、糸、織物などの生産を行う業界です。
繊維産業は明治初頭に始まり、明治・大正・昭和と日本の工業をリードしてきましたが、高度成長期以降は成長がストップしています。近年では大手各社を筆頭に、これまでの繊維産業からシフトして、繊維生産で培った技術力を応用し、自動車、建築、IT、医療などの他分野へも進出しています。
業界規模は縮小傾向
繊維業界は、少子高齢化や人口の減少に伴う国内市場の縮小化、東南アジアや中国から輸入される安価な繊維製品に押され、衣料用繊維を筆頭に苦しい状態が続いています。
繊維業界の動向と企業の取り組み
ここでは厳し状況を打破するために、各社が行っている取り組みなどを紹介します。
海外進出に注力
国内市場の縮小とは逆に、新興国では人口増加、経済成長に伴い繊維の需要も増えています。東レでは、インドに自動車のエアバック用の生地を生産する工場を設営、帝人では、耐熱性に優れるアラミド繊維の製造・販売を行うグループ会社をタイに設立するなど、グローバルな展開を進めています。
大手を中心に炭素繊維・高機能繊維が好調
アクリル繊維を焼成して作られる高機能繊維「炭素繊維」は、鉄に比べ、4分の1の重さでありながら10倍もの強度があります。そのためゴルフクラブ、釣り竿などのスポーツ用品に使われるほか、自動車や航空機、宇宙用品の部材としてとして使われるなど、他産業への需要が拡大しています。
炭素繊維では、国内トップシェアの東レが世界の約4割のシェアを握り、第2位の帝人、三菱レイヨンを足した3社で世界シェアの6割超を占めます。今後、自動車部材としての炭素繊維の需要拡大が見込まれているため、炭素繊維の市場規模は急速に成長する見込みです。
ポリエステル、ナイロンなどの繊維に特殊な加工をして機能を持たせた高機能繊維の分野でも、日本は世界をリードしています。吸湿発熱、吸汗速乾、抗菌防臭などの機能を持った繊維で作られた衣料品が海外でもヒットするなど、高機能衣料の分野の開発に成功しています。
中小メーカーも世界的に高品質な生地を生産
パリで年2回開催されるファッション素材と加工技術の見本市「プルミエールビジョン」に、日本メーカーの生地が多数展示されています。展示されるには事務局の厳しい審査を通過しなければならないことから、日本製の繊維の高品質さの証明にもなります。
「プルミエールビジョン」の顧客は欧米高級ブランドのため、高級ブランドのアパレルの生地として採用されるチャンスもあります。
繊維業界の人気企業は?
繊維業界の人気企業のなかから大手3社を紹介します。
東レ
業界シェア、売上ともに1位の東レ。「素材には世界を変える力がある。」という考えのもと、創業以来培ってきた先端材料技術をもとに、繊維や高機能繊維に留まらず、環境・医療など幅広い分野に事業を発展させています。
東レの強みは何と言っても飛行機用炭素繊維で圧倒的なシェアを誇っていることです。2015年から10年以上に渡り、米ボーイング社に炭素繊維を1兆3000億円分供給する長期供給契約を結んでいます。
帝人
業界2位の売上とシェアを誇る帝人。上述したタイへの進出をはじめ、海外企業の買収を行うなど世界的な戦略を進めています。これまでの研究開発やそれによって培われた科学技術を駆使し、繊維、高機能繊維のほか、在宅医療、医薬品、ITなど、多岐に渡った事業展開をしています。
炭素繊維の分野においては、自動車部材における炭素繊維のシェア拡大を狙い、2016年に米自動車部品メーカーを買収しています。
住江織物
東レや帝人に比べると知名度は低いですが、美術工芸織物、国会の赤じゅうたんなども手がける130年以上の歴史がある名門企業です。
自動車や電車用の内装事業、カーテン・カーペットなどのインテリア、高機能壁紙などの内装事業などを展開します。自動車用内装事業においては、アメリカ、中国、タイ、インドネシア、インドなどにも拠点を置き、世界的な展開もしています。
繊維業界の仕事
繊維業界にはどんな仕事があるのでしょう?繊維業界の主な職種について解説します。
素材研究
繊維素材の研究を行います。新素材の開発はもちろん、既存素材の改善や改良に向けての研究をすることもあります。
商品開発
商品開発は、繊維素材を使って新たな商品を生み出す仕事です。社会のトレンドやニーズを読み解く力や、斬新な発想やアイデアが求められます。
生産・管理
企業が扱う素材や製品の製造を担う重要な仕事です。製造設備の設計や建設に携わることもあります。
営業
繊維製品の営業・販売を行います。どれだけ製品の良さをアピールできるかが重要なので、コミュニケーション能力やプレゼンの力が問われます。
事務
繊維業界には、一般事務や営業事務、貿易事務などの事務職もあります。世界展開をしているような大企業では、総務や経理、人事などの仕事も大規模になります。
繊維業界でアピールしたいポイント
繊維業界に就職を希望するのなら、どんな長所をアピールしたらよいのでしょうか?就活に役立つアピールポイントを紹介します。
根気強さをアピール
国内市場が縮小するなか、新しい付加価値を持った製品を生み出すために、繊維メーカーは日々試行錯誤しています。新しい製品は一夜にしてできるものでなく、新しいアイデアや発想が生まれてから、長い時間と過程を経て誕生し、世に広まっていきます。
そのため、新しい価値を持った製品を生み出すために努力を続けられる人、失敗してもくじけない人が求められています。根気強さがあることをアピールするといいでしょう。
チャレンジ精神をアピール
繊維業界では、繊維で培ってきた技術をもとに、新しい事業に次々挑戦しています。これまでのやり方に甘んじるタイプよりは、新しいことに率先して挑戦できるタイプが好まれます。
また、各社積極的に海外展開を進めているため、新しい土地でも果敢に挑めるチャレンジ精神をアピールしましょう。
トレンドに敏感であることをアピール
新しい素材を生み出したり、新規事業を考え出すには、時代の先を読む力が必要です。そのため、新しい素材、注目されている繊維など、繊維業界のトレンドに敏感であることはもちろん、世の中の出来事や流れ、トレンドにも敏感である必要があります。
繊維業界を目指すなら
繊維業界を目指す就活生はどんな対策をしておくといいのでしょう?
英語力を身につける
繊維業界は海外メーカーとの競争が激しく、海外に販路を広げるなど、海外展開がさらに活発になることが予測されます。
海外に工場や拠点をつくる企業も増えているので、外国語が堪能であったり、留学などの海外経験があると、仕事で活躍できる機会も増えるでしょう。
業界研究をしっかりと
繊維業界は国内に優良企業が多く、海外との競争も今後激しさを増すでしょう。繊維業界を目指すなら、しっかりとした業界研究と企業研究が欠かせません。業界の動向や最新のニュースなどもチェックしておく必要があります。
繊維素材や商品の研究職や開発職を目指すなら、専門用語や開発技術に関する深い知識が求められます。
インターンシップに参加する
繊維業界は就活生にとって身近なようで遠い存在でもあります。企業の雰囲気や仕事内容がイメージしづらい就活生も多いと思います。
業界の雰囲気や仕事内容を知るには、企業のインターンシップに参加してみるのがおすすめです。実際に仕事を体験してみると、やりたいことや仕事で目指すゴールも明確になってくるでしょう。
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まとめ
変革を迫られている時期だからこそ、大きく飛躍するチャンスでもあります。新しいものを開発したい、新しいことにチャレンジしたいと考える人にはぴったりの業界です。
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